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二人して肩で息をつき、彩也香さんの存在を感じる、最高に幸せな瞬間。 「…重い」 彩也香さんをソファーに押し潰した体勢だったせいか、クレームがきた。 良い感じに微睡んでたので、抜きながら 「彩也香、溢すからソファー、布じゃなくて良かったね。」 と耳元で反撃したら、凄い勢いでバシバシ叩かれた。 笑いながらソファーから離れ、身支度をする。彼女も、のっそりと部屋着に着替え、寝室に移動する。二人で布団に潜り込む。 俺が腕を差し出すのと、彼女がすり寄るタイミングが同時だ。 こんな些細な事にも、心が浮かれる。 俺の腕に頭を乗せて、彼女が穏やかに嬉しそうな声で話す。 「親族のみの海外ウェディングだって、会社の人に言ったら残念がられたけど、正直助かった~」 「この忙しいのに、席表とかムリだったもん。」 「お母さん達の還暦祝いも兼ねるから、家族全員で海外旅行なんて久しぶり~」 「誠一さん、有難う!」 昨日までの出張の疲れが出てきて、段々瞼が重くなる。 「結婚後、同じ部署で一緒にはいられないから、副部長専属の派遣さんが来次第、私、人事部に移動になるって。」 うつら、うつらしながら愛しい人の話に 『やった!』と思った。 彩也香さんを副部長の側に残し、俺が今の部署を出るという最悪のパターンは、回避された。 何がどうなるものではなくても、俺のいないとこで、彼女と肌を重ねたことのある人間と一緒にさせたくなかった。 俺は、本当に安堵して眠りについた。 〈完〉
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