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モヤモヤの原因は分かってる。
近いのだ。
副部長と彩也香の距離が。
今も書類を二人で覗き込みながら話してる。
確かに、彩也香は無意識に人の懐に入って来る様な、距離を詰める時がある。
性的な誘いじゃない、彼女独特の距離感だ。
しかも滞空時間は短く、あっという間に次の仕事を見つけ、気忙しく立ち働く。
知らなければ、誤解する男もいるだろう。
俺が惚れた笑顔だって、皆にふりまいてる。
媚ではない。
笑顔が彼女の、いつもの顔なのだ。
彼女は、容姿に自信がない様だが、営業で疲れて帰社した時に、『お疲れ様!』って向けられる笑顔に、グッとくる奴は多いハズだ。
時々するオカンみたいな話し方も、わざと皆の雰囲気を和らげる為で、声は癒し声だ。
スレンダーではないと、体型を気にしてるが、あの白さ、柔らかさ…
とにかく!
同期だというから入社後、接点はあっただろう。
が、妙に二人がしっくりしてる様に思えてならなかった。
あのトラブルメーカーの情報が正しければ、彩也香が以前話してくれた初めての彼だ。
今夜は優しく出来ない。
出張で1週間は彼女に触れてないので、早急なものになる予感はするが、それより嫉妬に駆られて、酷い言葉を彼女にかけそうで、怖い。
これ以上、二人の姿を見たくなかったから、仕事に没頭した。
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