恋人と

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恋人と

私の家族構成は母、兄三人私の四人家族で出来ている。父親は居たが私が小学四年の時に離婚した。いまの現社会では珍しくない片親だ。そんな母に恋人が出来た。母より十歳以上年の離れた男性だ。おまけに既婚者。小学六年の私には意味が分からなかった。その男性が子どもたちに会いたいと家に来たことがあった。突然来たものだから挨拶ぐらいはしようと男性のもとへと駆け寄る。視界は吹雪で覆われ、目も悪かった私はその人の印象は大人の男ただそれだけ。顔や髪型はボヤが掛かったかのように何も見えなかった。初対面としては何とも滑稽だ。  その人が帰ると母に告げると男の人は私に商品券一〇〇〇円分、三枚くれた。片親な上、私を含め四人兄妹を育てている母はお小遣いを上げる余裕もなく、私にとってその人は家族以外でお金をくれるあしながおじさんに見えた。  相手は既婚者なので毎月会いに来れるわけもなく、二月に一回ぐらいの頻度で遊びに来る。その度に商品券を貰っていた。私が中学二年になる頃にはその額が商品券三〇〇〇円から現金五〇〇〇円に上がっていった。瞬間、こういう関係はおかしいと薄々と気がついていたが友達と遊ぶお金がほしい、プリクラを撮るお金が欲しい、遊ぶのにはお金がいる。やめられるはずがなかった。 母も偶にお小遣いをくれたがすぐ無くなるお金。男の人もくれるが友達が多かった私はすぐ無くなるのだ。考えている内に四つ上の学生の兄はバイトもしていないのにお金に困っている姿を見たことがないことに気づいた。素直に聞いてみると離婚した父にお小遣いを貰っているという。私もと思い、久々な為、狼狽えながらも血は繋がっていると謎の緊張感で電話をした。他愛も無い世間話をし、最後にお金が欲しいと切実な思いで聞いてみる。明るい声でOKの合図があった。上手くいったと喜んだ私は一月では断られる可能性があるとふみ、二月ぐらいに連絡をしお金を貰っていた。その額は万単位。中学では中々お目にかかれない額に驚き半分嬉しさと五分五分の想いで一杯だった。
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