偽物と

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偽物と

互いに切磋琢磨しあい、東京に来てから四年目に差し掛かる頃 久しぶりに母の惚気話を聞いた。 中学の頃は毎日のように聞いていたそれを思い出す。母の顔でもない女の顔で楽しそうに男の話を繰り出す母に私はとても嬉しかったのを覚えている。 不倫は互いを壊すもの、そして周囲にも影響を及ぼす。褒められることではないがこの三人でいる時だけは何も考えなくていい偽家族の空間。私はそれだけで十分満足していた。だからか、中学の親友が言い放ったお金を渡して私達を利用しているその一言に納得が出来なかったのは。 でも、もういいのだ お金を貰う、貰われる時点で上下関係は成り立っていることを、 男にとって私の価値はお金で買えると思っていることもそして、母と男二人で泊まりで出かけるそれすなわち、、 全部全部分かって私も父の幻影を描いていると。
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