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翌朝、前の夜が魔王との話し合いで遅くまで起きていたので、眠い…。
「坂本よ、朝だ。起きよ」
コスプレ姿の魔王が坂本を起こしにきた。
眠気眼の坂本は大きく伸びをしながら言った。
「……おはよ、魔王。あんた着替えはないのか?」
「着替えはいつも朝になれば、誰かが用意してくれていたが、ここには我の使用人はひとりもおらんからないな…」
気になるのか?と言わんばかりの表情を魔王は浮かべた。
「…じゃあ、オレの貸す…いや、サイズが合わないか…」
「ウム。そのようじゃな」
……仕方ない、今日の帰りに大きいサイズの店に寄るか…金も無さそうだし…。
はぁ、とため息をつきながら顔を洗いに行く。
そして、台所に行くと…
「朝食を作っておいた、食べるがよい」
とスクランブルエッグとサラダ、トーストが置かれていた。
「……これ、魔王が?」
「そなたと我しかいないであろうに、それを聞くのか?」
「………」
確かに。
だが、警察を知らなかった魔王がどうやって朝食を作れるんだ?
「……これ?食べれるのか?」
恐る恐る聞いてみた。
「当たり前だ」
そんな事を何故聞く?と言わんばかりの表情を浮かべている魔王。
魔王が朝食を作るなんて聞いたことないぞ。
…とりあえず、スクランブルエッグを一口…。
「……うまい。魔王、本当に「我が作ったって言っているであろう。魔王とて、やる時はやるんだ」
やる時はやるって普通はやらんだろ?魔王は。
「あと、そなたの着ていた昨日の衣類は干しておいた、あそこに」
……縁側の物干し竿に綺麗に洗濯ものが干してあった。
オレよりすごい…。
魔王説は実は嘘なのではないか…?
坂本はそう思う。
…家事をやる魔王なんてどこの世界にいるんだ?
普通…RPGの世界では威張りくさっているイメージだが。
どうも目の前の魔王は違う…。
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