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「…まあ、そなたがどんな魔王を想像しているのかは分からぬが、異端であることは確かなんだろうな…」
と魔王はまるで、独り言を言うように呟いた。
その表情がとても寂しそうな辛そうな顔でそれ以上は聞けなかった。
ピンポーン
玄関チャイムが鳴った。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン♪
連打されている。
「朝からなんだよ…一体」
渋々、椅子から立ち上がり、玄関に向かう。
「はいはーい、どちら様?」
「坂本さん、おはようございます。
真王ちゃん、いる?」
この声は家回りの畑の持ち主の烏丸さんだ。
魔王を呼び、玄関の扉を開けると烏丸さんは大きな紙袋を2つ持っていた。
「坂本さん、真王ちゃんおはようございます。真王ちゃんにお父さんのお古で悪いけど、洋服をあげようと持ってきたの。似合うかしらね?」
紙袋の中身は洋服だった。
魔王は紙袋を受け取ってから、
「ありがとう、さっそく着てみよう」
と言って、奥に行ってしまった。
「烏丸さん、何かすいません。
魔王に洋服をいただいて」
坂本がそう言うと、烏丸さんはニコニコしながら、
「いいの、いいの。昨日、坂本さんがお留守の時真王ちゃん、洋服があれしかないって言ってたから、あの格好だとさすがにお店にいけないでしょ?」
「……まあ、確かに」
本当にコスプレ姿にしかみえないもんな、あれと坂本も頷く。
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