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「…別に怒ってはおらん。あまりにも気持ちよさげに寝ていたものでな。で、アレン何があって、ここに?」
魔王は静かにそういうと、アレンと呼ばれた使い魔がヒックヒックとしゃくりを上げて涙をふいた。
「ボク…魔王さまの言いつけ通りずっと城内部の情報を探っていました。魔王さまにその報告をしようとした時、急に背後から…ひと突き…されたはずなんですけど…。……痛くないし、傷もない…ボク…魂だけとなったのでしょうか…?」
坂本の手の中で不安げに小首を傾げるアレン。
「魂だけだと…触れないはずだから、ちゃんと生きていると思う。頭に乗った時、重かったし温かいし」
坂本がそう言うと、眼を見開いて驚いていた。
「そうなんですね。しかし、ここはどこですか?坂本さまの…?ずいぶんと天井が低く感じますが…」
「そ、オレの家の玄関…城に比べたら確かに小さいし天井が低いが、暖かいぞ。とにかく中に入ろうか」
「はい、お邪魔します」
こうして、2人プラス1頭が暮らすことになった。
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