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第4話 おまけ
春休み突入してすぐの律の「口説きます」「わかりました」からまだ3日しか経ってないのに、俺は律のうちに入り浸りです。家には「律と勉強する」と言っています。ほんとに勉強するし、学年末テストの実績があるため、親もそう文句は言わない。連日お邪魔するのはどうかとは言われるけど。
律と2人きりで過ごすことも増えると、あっという間にちゅーまで来てしまいました。
パラレルワールドに来たことが発覚したのも、キスだったしさ。
ハグしたり、律のベッドで2人でお昼寝してたりしたら、流れで律から「キスしたい」と言われました。
「ファーストちゅーだから、優しくしてね」と言ったら「俺にとっては2回目の瑞生のファーストキス」と言われ、フクザツな気分になったけど、気持ちよかったからいいにする。
今も律の部屋でちゅーの真っ最中。さすがに律の部屋以外、例えばリビングでのちゅーは恥ずかしくてできませんでした。なんだよ、謎の羞恥心。やはりリビングはパブリックスペースだから?
本日はお昼の堅焼きそばを作る前に「瑞生の補給」と律がちゅーを始めました。
こいつ、上手い。気持ちよくてびっくりするくらいちゅーが上手い。どういうことなの、律さん?女の子といっぱいしたことあるの?怖くて聞けない男心。そういう気持ちになるくらいには、律を好きになってて自分でも驚いてる。
律にされて自分が気持ちいいことを律にしたら「瑞生のキスがだんだん上手くなってる」と言われたけど、おまえには言われたくない。
自覚があるのは、息継ぎですかね。
鼻で呼吸する。というのは、マンガでもよく見てたけど、実際は「鼻呼吸じゃ追いつかねぇっ!」ってことだった。なので、ちょっと唇の隙間を開けるとか、短いキスをするときにさりげなく息吸うとか、あれやこれやを組み合わせてですね。やってるんですよ。
で、でろんでろんになっていたわけですが、太腿に違和感。
これは、もしや、もしかして。
俺は唇を離してみました。
「ね、律。もしかしてえっちな気分になっちゃった?」
足に感じる、この棒状の硬いものは、アレしかないでしょ。ナニですよね。
「あぁ」
あー、やっぱり。そうですかそうですか。
そりゃこんな気持ちいいちゅーしてたらそうですよね。
つ・い・に。
この時がきたのですか!
「よしわかった、任せろ、律」
俺はえいっと律を押し倒してみましたよ。
「初めてだけど、優しくしてみるから。安心して」
「ええっ?!」
なに、その声。その顔。ひどい驚きよう。
それはアレですか。童貞の俺が信じられないというわけですか。いやいやいや。なんのために兄貴がいると思ってるの。そのテの情報は早いうちからもたらされていますよ。おかげでひとりえっちデビューは早かったです。へへへ。
男同士はよくわかっていないけど、ま、なんとかなるでしょ。
こういうことは真心込めて誠心誠意尽くしてみるものです。
「もしかして、瑞生、俺を抱くつもり?」
はぁ?!なんでそんなこと聞くの。
「あたりまえじゃん、そうだよ。丁寧に抱いてあげるから、心配しないで」
「いや、逆だから」
「なにが」
「俺が瑞生を抱く」
「えええっ?!なんで?」
「なん……って、俺のほうが大きいし」
「体重、変わらないじゃん。俺だって男だ。抱くよ」
「いや、でも」
「律は俺が女だとでも言いたいのか」
「そんなことはない」
しばらく押し問答があり、2人とも黙ってしまった。
うーん。
「じゃんけん?」
「は?」
「律も俺も抱きたいんだから、じゃんけんでどっちが先に抱くかを決めればいいじゃん」
「いやだ」
「じゃあ、どうするんだよ」
30分の話し合いののち、その日を迎えるのはまだ早い、ということで今回は見送り。俺の男同士のえっちの知識のなさにも律はどん引いていた。
「なにも知らずにしたら、危ないだろ。大怪我をするぞ」
と怒られた。
くそーっ。今に見ておけっ。兄貴から情報をもらって、マスターしとくからっ!
で、結局、2人でヌキ合うことにしたが、俺が律を先にイかせました!よっしゃあっ!いくら律がスパダリでも、ひとりえっち歴が違うんじゃっ。
ま、まぁ、俺も律の手にイかされて、腰が抜けそうになりましたけどね。
ヘコんでしまった律を慰めつつ、堅焼きそばを作るために2人でキッチンに行きましたとさ。
おしまい
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