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「そっか。あれも地元の牛乳を使った名物なんだよ」
「ほう」
こうして彼女に案内をするのにも、だいぶ慣れてきた。
彼女の行く所、多かれ少なかれトラブルがあって大変な事もあるけれど、案内係の仕事は嫌いじゃない。何でだろう、ホームステイに来た外国の子に日本の事を案内する感じに似ているからかな。もっとも、彼女は日本の空の上に住んでいたカミナリ様で、日本語もペラペラなのだけれど。
入り口付近にあるコンビニとカフェにも多くの生徒がひしめくのを眺めつつ、私達はさらに奥へと進んだ。歩くにつれて次第に広く明るくなっていく店内は、遺跡探検で松明の灯る広間に出た時と似た物がある。
そうしてたどり着いたのは、『財宝の間』では無くおみやげ屋さんだ。
宝物と呼ぶには少々オーバーだが、物の量ならこちらも負けてはいない。平台や島状に配置された什器にはおみやげ用のお菓子がうず高く積まれ、回転式スタンドにはご当地キーホルダーやアクセサリーが吊るされ、壁面の棚には地元の工芸品が所狭しと飾られていた。
「これがサービスエリアの土産物店か……、聞いてはいたが山海の地の恵みに溢れているな。おお、隣県の名産品まであるとは」
レイネはそれを目にするなり驚きの声を上げた。地元の人なら多くが利用した事のある場所なので、そんなに珍しい訳でも無いが、カミナリ様にとっては見慣れない品ばかりで新鮮に感じるのだろう。私もここへ来たのは久しぶりだったので、ちょっとわくわくする。
「早川さん、お帰り」
「あ、森田さん達、ただいま」
先に来ていた森田さんに声を掛けられた。
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