サービスエリアにて

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POPには、いかにもうちのお父さんが好きそうなおしゃれなアレンジが紹介されていた。お父さんはおしゃれというかキザな所があるから、クラッカーとワインで晩酌を楽しむ姿がすぐ目に浮かんだ。 「でも、これは保留ね」 「うーむ、解せぬ……」 決して悪いチョイスでは無かったけれど、ワインを飲んでおしゃべりになったお父さんは色々と面倒臭そうなので、遠回しに却下した。 「ではお兄様に……」 「お兄ちゃんも一緒に来てるから要らないよ」 「ホワイトマズルに……」 「カブトムシ用のお土産なんて無いでしょ」 「しかしだな……」 「褒美を取らせたい病」にかかっている彼女は、どうしてもお土産を持って帰りたいらしく、そう簡単には引き下がらない。ペットのカブトムシの分まで考えていたのには呆れてしまった。 「今買っても荷物になるだけよ。浜歩きが終わってからにしたら?」 そのやり取りを聞いていた浮月さんが、助け舟を出してくれた。 「天宮さん、海の家辺りの方がそこでしか売ってない物あるかもよ。あと、帰りもサービスエリアに寄るから、そこで買ってもいい訳だし」 続けて森田さんからもフォローが入った。 「成る程、その考えには至らなかった」
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