サービスエリアにて

16/19
前へ
/356ページ
次へ
ぱっと見2人前くらいの量があるが、有働君は有働君で別にかごを持っている。 「ああ、最近めちゃくちゃ腹減るんだよな。運動部は辛いぜ」 「こいつ、ありえないくらい食うよな。さっきもフードコートの前で『ラーメン食いたい』って言い出すから、全力で止めたわ」 休憩時間はそれ程長く無く、フードコートで食事をするには短かった。そこではラーメンにおでん、どんぶりにハンバーグ等、それぞれのお店が壁面パネルやのぼり旗を使って猛アピールを繰り広げていて、お客の食欲を大いにかき立てる。だから、彼の気持ちは分からなくも無い。 「買い過ぎでしょタッキー。今日は朝練無かったでしょ?」 でも、いくら成長期の真っただ中だからと言って、これだけの量を1人で食べるのはやり過ぎじゃないかな。 「それを言うなって! 歩いてる途中で腹減ったら困るだろ?」 「はいはい」 そう言う彼の表情は、まだ中学生のような子供っぽさが残っている。身長はぐんぐん伸びて今や180㎝近いけれど、そこだけ昔のタッキーがいてほほえましくもある。 「その長い食べ物は何だ?」 レイネも遅れて話の輪に加わってきた。彼女の関心は買い物の量では無く中身のようで、かごからはみ出した長い食べ物を指差して彼に質問した。 「これ? 『ロング』だけど?」
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加