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ロングとは、その名の通り細長いパンで、30cmはあるその中にジャムやクリームが詰まっている。大体どこのお店でも売っているポピュラーな商品だ。 「量があるからマジ助かるわ、これ」 「コスパいいよな、種類も多いし」 男子2人の評価通り、安くてボリュームがあって飽きの来ないこのパンは私達学生の主食やおやつにもぴったりで、これが嫌いな人に出会った事が無い。特に瀧本君はロングが大好物で、これで育ったと言っても過言では無い。 ドンッ――! ロング談議に熱中していたら、突然誰かが背中にぶつかってきた。後ろを振り返ると、 「もう、置いてくなんてひどい!」 千佳ちゃんが上目遣いで私を睨んでいた。一緒にトイレに行ったのに、レイネの案内に気を取られて彼女を置いてきぼりにしてしまった事に今気が付いた。さっき背中に受けた衝撃は、彼女の抗議のタックルだったのだ。 「ごめん、忘れてた!」 「親友を忘れるなバカ―!」 両手を合わせてお許しを得ようとしたけれど彼女の怒りは収まらず、肩たたきのように私の腕をポカポカと殴った。 「もう絶交だから! レイネちゃんもだよ!」 そして、その怒りは原因であるレイネにも向けられた。
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