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「おお済まない。お詫びのしるしに、お千佳坊には飴玉の一つでも買ってやろう」
レイネは右手で彼女の頭を撫でつつ、左手で棚にあったキャンディに手を伸ばした。
「子ども扱いすなー!」
彼女の間違った謝り方のせいで、千佳ちゃんはますますご機嫌斜めだ。こういう所は、出来れば直して欲しい。
「おい、他のお客さんもいるんだから静かにしろよ」
瀧本君が、興奮して騒ぐ千佳ちゃんをたしなめた。
「あー、タッキーまたロング買ってるー!」
「うるせえなあ、別にいいだろが……」
すると、千佳ちゃんは瀧本君の方に食いついた。彼は面倒くさそうな顔をして「しっしっ」と手を振り追い払う仕草をした。しかし、そんな事で彼女が逃げ出すはずも無く、
「やきう部だからってロングをバット代わりに使っちゃダメだからね!」
「しねーよ、お前じゃあるまいし!」
「4番・ショート、瀧本クン!」
「ウグイス嬢の真似すんな、恥ずかしい!」
1分前までの怒りはどこへやら、彼女は瀧本君をからかって楽しんでいた。
「お前ら3人、ホント仲いいよな」
「まあ、小学校から一緒だからね」
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