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有働君は見た目がクールなので、ほめているのか馬鹿にしているのかわかりにくい。でも、ずっとこんな感じでやって来れたから、仲悪いって事は無いんじゃないかな。
言い忘れていたかもしれないけれど、私と千佳ちゃん、そして瀧本君は同じ小中学校出身の幼なじみなの。この春めでたく同じ高校の、それも同じクラスになれたのは色んな意味で奇跡だと思う。千佳ちゃんと瀧本君は時々ケンカをする事もあったけれど、長い付き合いで段々とお互いの考える事が分かってきたのか、最近では相手を傷付けないギリギリのラインを狙って仲良くケンカしている、と私は思っている。
「皆、早くレジに並ばないと、集合時間に遅れてしまうが」
「あ、ヤバい!」
「キャー、待ってよー!」
レイネに急かされて、それぞれが再び買い物に集中した。千佳ちゃんはまだ買う物が決まらず店内をうろうろ、瀧本君は最後にお菓子を追加してレジにダッシュと慌ただしく動く中、有働君が私の分と合わせてお会計をしてくれる事になったので、私とレイネは外で待つ事に。
「レイネは何か食べ物買わなくて良かったの?」
「ああ、今の所はな。『へそ饅頭』が有れば買い求めたかったのだが」
「何それ……?」
彼女の口から、謎のおまんじゅうの名前が飛び出した。
「下界にも、ヘソを模った饅頭があると聞いていたのだが」
「さあ、この辺では聞いた事無いなあ」
そんなカミナリ様御用達みたいなお菓子は、一体どこで売っているのだろう。
「ごめーん、お待たせー!」
「もうギリギリだ。ダッシュで行こうぜ!」
「わかった!」
へそ饅頭の事は後で調べてみよう。買い物が終わった千佳ちゃん達と共に、私達はタイムリミットが迫るバスへと駆けて行った。
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