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しかし、それを聞く生徒の集中はイマイチで、窓の外をチラチラと落ち着き無く眺めていた。それもそのはず、外には既に他のクラスの生徒達が歩いていた。うちのクラスはサービスエリアからの出発が遅れ、全校でも到着が遅い方になってしまっていたから、余計待ちきれない想いが募ったのだと思う。
「歩行のペースは個人に委ねるが、どんなに遅くとも午後3時までには海の家に到着する事。波打ち際での水遊びはOKだが、海に入っての遊泳は禁止とする。あと、コンビニやスーパー等のお店を利用する際は、騒いで一般のお客さんの迷惑にならないように。そして……」
「先生、長いよー! 巻いて巻いて!」
なかなか終わらない先生の説明に、次第にヤジが起こった。
「おいおい、もうちょっとで終わるんだから静かに聞いとけよ」
「早く我々を解放せよーー!」
「そうだそうだ!2日酔いの事を校長にバラしてもいいのかー?」
なだめる先生に対し、一部の暴徒化した生徒からは脅迫めいた言葉まで飛び出し、もはや抑えきれなくなった。
「うるせえ、これで最後だから黙って聞け! もし途中で体調が悪くなったら、1人の時でも数人で歩いてる時でも俺のケータイか近くの先生に報告する事、以上! ったくバカヤロー、解散だ!!」
「やったー! 行くぞヤローども!」
「おうともよ!」
生徒達のあまりの子供っぽさに、怒るよりも呆れてしまった先生が『バカヤロー解散』を宣言し、せっかちな男子達が海賊みたいな掛け合いをして前のドアから勢い良く外へと出て行った。そんなに慌てなくても、海は逃げないのにね。
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