新米パーティ、浜を征く?

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「あ、早川さん」 彼女は、私が声をかける前に気付き、撮影の手を休めて私の方を向いた。 彼女が持っているカメラはブラックのボディに大きなレンズが付いた、いわゆる本格的な一眼レフカメラ、だと思う。赤いチェック柄のシャツにジーンズ、靴はアウトドアブーツというファッションも、首に掛けた幅広のストラップと相まってプロのカメラマンっぽく見えた。 「すごく高そうなカメラだね」 「お父さんのお下がりなんだ。値段は分からないけど結構いいのなんだよ」 彼女のお父さんは写真が趣味で、家にはもっと高性能のカメラや1本何十万円もする超望遠のレンズがコレクションされているそうだ。今使っているのもその中の1つで、高校の入学祝いにお父さんから貰ったんだって。 「どれ、撮影は快調かな?」 「あ、レイネちゃん。うん、楽しいよ。今日は晴れてて雲もいい具合に沸いてるから、絶好の撮影日和だね。眩しいと白飛びしやすいんだけど、レンズフィルター着ければ光の反射を抑えて空も海もキレイに撮れるしね」 「ん、どういう事?」 「これ見てみて」 百聞は一見に如かず。彼女は、カメラの液晶モニターにフィルター装着時と未装着時の風景写真を映して見せてくれた。 「ああ、だいぶ違うね!」 「うむ、一目瞭然だ」 なるほど、確かにフィルターを着けている時の方が空や木々の色が鮮やかにはっきりと見える。着けていない時の方が全体的に明るく見える気もするが、色が薄まっているようにも見える。
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