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意外と気が利く所もあるんだと感心しつつ、女神様のような彼女が何を出してくれるのかわくわくしながら待った。
「甘酒で良ければ分けてやろう」
「えっ……?」
ところが、出てきたのは予想外にも甘酒だった。そういえば、廊下の自販機に売っていたような気がしたが、それをチョイスしている人を見かけた事は無かった。
「いや、それはちょっとなあ……」
気持ちはありがたいけれど、今はジュースの気分だったからコレジャナイ感が強かった。
「何故だ。優しい甘さで、ちょうど人肌まで冷めているから飲み易いぞ」
「うーん……」
せめて冷えていればワンチャンあったかもしれない。今日は5月にしてはそこそこ暑い日なので、人肌の飲み物を口にするのはちょっと厳しかった。
「つ、つぶつぶが口に残りそうだからいいや、ごめんね」
彼女には申し訳ないと思いながらも、遠慮する事にした。
「ふん、人が折角親切で言ってやったのに、無礼な奴だ。そのまま喉の渇きに苦しむが良い」
気を悪くした彼女は、相手を炎天下の砂漠に置き去りにする悪魔みたいな口調で冷たく言い放った。
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