67人が本棚に入れています
本棚に追加
「森田さんが写真撮るの邪魔しちゃダメだって! 森田さんに謝りなよ」
「いいよいいよ。これはこれで面白いのが撮れたから」
森田さんは優しく許してくれたから良かったものの、鳩が飛んできてびっくりしてた人達もいたし、軽はずみな行動は慎んで欲しい。
「久々に来る海もいい物ね」
私達の騒がしいやりとりが終わった頃、浮月さんがゆっくりと後ろから現れた。ネイビーのボーダーが走る白の半袖ニットにややハイウエストなスカイグリーンのスカート、ヒールの低いコルクサンダルと落ち着いた装いに身を包んだ彼女。大人っぽくて初夏の浜辺が良く似合うファッションだけれど、私には似合わないだろうなあ。
そう言えば、彼女は私達と一緒に歩く事をOKしてくれたのだろうか。彼女とバスで隣の席だった森田さんによれば、「特に先約も無いので大丈夫」と言っていたそうだけれど、森田さんはOKで私達はNGという事もあり得る。特に、うるさいタイプの千佳ちゃんとは相性が悪そうだ。
ここは直接聞いておいた方がいいと思い、緊張を隠してさり気無い感じを出して聞いてみた。
「浮月さん、一緒に歩こう?」
「別に構わないけれど」
良かった、一発OKだ。表情はいつものクールな浮月さんそのものだが、嫌な顔はしていない。あと心配なのは例の件だけれど……。
「あの、千佳ちゃんがうるさいと思うけど、我慢してね」
「大丈夫よ。うるさく無かったら望月さんじゃないでしょう?」
この時だけ、少し笑みがこぼれていたような気がした。そんな訳で、基本はこの5人組で行動する事になった。
最初のコメントを投稿しよう!