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浜辺で出会うもの
私達5人は、海を左手に見ながら波打ち際を沿うように進んだ。
千佳ちゃんが足元に波を受けては蹴り上げて私達の方に水しぶきを飛ばし、私達がそれを避ける様子を前にいた森田さんが後ろ歩きでカメラに収める。
彼女が後ろ歩きなのは、私達の遥か後ろに高くそびえる山を浜辺と一緒に写す為だ。威風堂々、どこに出しても恥ずかしくないその山の頂上はまだ雪が積もっていて、初夏の浜辺に涼やかさを添える。浜辺の遠足ではあるものの、森田さん的には「海と山はダブル主演みたいな関係だから、山とのツーショットは絶対必要だよ」という考えらしい。確かにその組み合わせはキレイだと思う。
レイネは浜辺の動植物に興味津々だし、私や浮月さんも「せっかく海に来たのだから」と、水際を歩く事には特に異論が出なかった。
周りも私達同様何人かのグループを作っていて、そのいくつものひとかたまりが大集団を形作る。前方に見えるだけでも50人はいるだろうか、砂に隠れた貝を掘って探したりカニとたわむれたりする人や、水鉄砲で友達に奇襲攻撃をかける人もいて、浜辺は明るい日差しと相まって活気に満ち溢れている。
「たまには童心に帰って貝殻でも拾おうかなー」
「ははは、面白い事を言う」
千佳ちゃんとレイネ、どちらも子供らしくない言葉をつぶやきながら足元に落ちている物に目を凝らす。
「巻き貝ゲッツ!」
さっそく千佳ちゃんが白い巻き貝を拾い上げ、右手を高々と挙げる。
「すごくキレイな貝殻だね、写真撮らせて」
「いいとも、フォトジェニックに撮ってくれたまえ!」
森田さんのお目当ては貝殻なのに、千佳ちゃんは貝殻を右耳の脇にかざしてアイドルスマイル全開だ。
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