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「私も負けてはいられないな。どこかに珍しい物は落ちていないものか」
レイネも何か一つ拾ってみようと中腰で辺りを見回す。
「おっ、変わった物が落ちている。詩乃、これは何だ?」
彼女は10歩ほど先に進んだ所で何かを拾い上げ、私に見せにきた。
「え、何だろうこれ……?」
レイネが持ってきたのは貝殻でもカニでも無く、見たことの無いグレーの石のような物体だ。直径10㎝ほどの平べったい五角形で中心が少し盛り上がっている。表面には5枚の花びらのような模様があり、全体的に硬くざらざらとした感触だ。植物の化石にも見えるが、浜辺に落ちているのはおかしい気がする。
「ねえみんな、これ何だかわかる?」
「何これ!? わかんなーい」
「さあ、見た事無いなぁ……」
みんなに聞いてみたけれど、やはりこの謎の石の正体を知る人はいなさそうだ。
「昔、図鑑で見た事がある気がするけれど……、思い出せないわね」
「見た事あるの!?」
浮月さんだけは明確にわからないながら、少しだけ情報を知っているようだ。
「何の図鑑に載ってたの?」
「あれは、海の生き物の図鑑だったと思うけれど、名前まではわからないわ」
彼女はあごにこぶしをあてながら頭の奥底の記憶を引っ張り出してきてくれた。
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