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「これって生き物なの?」
「あまりそう見えないね」
千佳ちゃん達が疑うのも無理はない。でも、言われてみれば普通の石よりも軽く、石に似た貝の一種に見えない事もない。
「あちらに山崎先生がいる、聞いてみよう」
レイネがちょうど近くを歩いていた生物担当の山崎先生を見つけたので、鑑定をお願いする事にした。
「先生、これは一体何なのでしょうか」
「おっ、❝ミズ・アメノミヤ❞じゃないか。これは『タコノマクラ』だね」
「タコノマクラ?」
山崎先生は謎の物体が何なのかすぐに特定してくれたけれど、不思議な名前過ぎてこれだけでは全くわからない。
「これって生き物なんですか?」
「そうだよ、タコが枕にして使いそうな形をしているからタコノマクラ。ウニの仲間なんだよ」
「これがウニ!?」
意外な正体に驚いた。私達が日頃目にするトゲトゲしたウニとかけ離れていて、どちらかと言えばヒトデの方が近い気がする。
「これはもう死んじゃって乾いてるから石っぽいけど、生きている時はもっとふかふかとしたまんじゅうみたいなルックスなんだよ」
「ウニの仲間って事は、食べたら美味しいんですか?」
「それが、残念ながら中は硬い柱だらけで食べられる所が無くてねえ……、食えたら天下取れてたかもしれないな。かわいい見た目に反して吸盤のある足で岩場も登る、結構ガッツのある奴だよ」
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