浜辺で出会うもの

4/22
前へ
/356ページ
次へ
「山ちゃん先生、すごーい!」 「はっはっは、まだまだアプリになんぞ負けないよ!」 生徒達に褒められて上機嫌な先生。最近はスマホのカメラで撮るだけで、何の生き物かを判別してくれる便利なアプリがあるが、ここは先生に軍配が上がりそうだ。 「先生、貴重な知識をどうもありがとうございました」 今日も深々とお辞儀をするレイネ。他の人が見たら謝っているのかと誤解されそうだ。 「何の何の、こんなの序の口さ。じゃあ、この後も生き物の観察を楽しんでくれ。また気になった物があったら遠慮無く持ってきてくれていいよ」 「ありがとうございましたー」 先生と別れてからも、しばらくの間波打ち際での採集は続いた。 千佳ちゃんは貝殻集めに夢中で、形や色が気に入った物を次々とビニール袋に詰めた。小さなカニを見つけた時は、かわいいから連れて帰りたがっていたけれど、入れ物が無かった事もあり諦めた。 そこから更に歩いた先では、こんな事もあった。 「見て、あれ。イカが落ちてる!」 1匹のイカが陸に打ち上げられていた。 「……モンゴウイカね」 「力尽きて浜辺に運ばれてきたんだね、かわいそうに……」
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加