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「蹄の跡がある」
「ん?」
レイネが砂浜についた足跡を見つけた。アルファベットの「C」が右回りに90度回転した形が、波打ち際から草の生えた小高い場所までジグザグに刻まれていた。森田さんがそれを刑事ドラマの鑑識係さながらにカメラで撮影しつつ、みんなでたどって行く。
「あれだっ! あそこに馬がいるよ!」
千佳ちゃんが見つけたのは、鞍に人を乗せた白い馬だった。周りには我が校の生徒達が10人程群がって、馬の身体に触ったり写真撮影を行っていた。
「ねぇ、私達も行こうよ!」
「うん」
千佳ちゃんが人だかりに向かって猛ダッシュしたのを、私達は小走りで追いかける。
「わぁー! おっきいね!」
「うん、カッコいいね」
私はあまり詳しくないのだけれど、前足の先から肩までの高さは私の身長位まであり、全身白い毛で覆われた立派な馬体が目を引く。脚やお尻の筋肉が所々盛り上がり、良く鍛えられている事を感じさせる。大きいから鈍そうとか白いから太って見えるという事は全く無い。
馬は臆病な生き物と言うが、この馬はしっかりと訓練されているのか人間に囲まれても落ち着き払っていて堂々としたものだ。
よく見ると鞍の辺りにはゼッケンもついており、『8』という大きな番号とその下にはカタカナで『ラブチュータコサン』と記されていた。
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