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お兄さんはスマートな体型で、身長も180㎝はありそうで馬から降りてもなお大きく感じる。上はYシャツにベスト、下はジーンズにブーツで❝乗馬スタイル❞として街歩きでも通用しそうなおしゃれなファッションで、女子達からしたらエスコートされたくなるタイプなのかもしれない。
「出来た! じゃあ、さっそく乗ってみようか」
「はい」
準備が整ったレイネが、いよいよ馬に跨る事となった。
「レイネ、大丈夫なの?」
「案ずるな、臆する事など無い」
その自信がどこから来るのか全くわからないけれど、彼女の顔に不安の色は微塵も感じられなかった。
2人は馬の左側へと向かう。お兄さんの説明によると、馬は左側から乗り降りするのが基本らしい。レイネが鞍の前に立ち、お兄さんはその左で補助をするそうだ。
「まず、左手で手綱とたてがみを持って、右手は鞍をつかんでね。そうそう……、今度は左足を膝蹴りみたいに上げてね、それを僕が持つから。右足で勢いよくジャンプして馬に跨るんだけど、その時に僕が左足を持ち上げてアシストする。OK?」
「はい、承知致しました」
結構複雑な説明なのにあっさり返事をして、本当に理解出来ているのだろうか。半信半疑で見守っていると、
「心の準備はいい? 1・2の3で跨るよ。1・2の……3!」
掛け声とともに彼女は軽やかに高く飛び上がり、お兄さんのアシストを受けてスムーズに跨った。
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