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「わ、わかりました、止めますよっ! ちょっと遊んでただけじゃないですか……」
「うるさい、早くしろ!」
その気配に圧倒されて、田中君は馬からドローンを遠ざけようとした。
ところが、
「おいおい、ついてっちゃダメだよ!」
「おっと……」
好奇心旺盛な馬は、ドローンの後についてきてしまい、綱を引くお兄さんやレイネの制止が効かない状態と化してしまった。
「わわっ、こっちくんなよ!!」
「キャー!!」
田中君がドローンを自分の手元に戻そうと考えていたのも裏目に出た。ドローンを追いかける馬は必然的に田中君の方に向かってくる。彼はドローンをそばに浮かせたまま右往左往するばかりで、巻き込まれた周りの子達からは悲鳴も上がり、辺りはプチパニックと化した。
一体どうなってしまうのか。まだお兄さんは綱を持っているしレイネも上に乗っているけれど、馬がこれ以上エキサイトしたら大惨事になる可能性がある。
その時、レイネが手綱を強く引いた。すると、
「ブルブルルルル……、ヒヒィ――――ン!!」
馬が両前脚を上げ、その場に停まった。そして、ひどく興奮した様子でぐるぐると落ち着き無く回りだした。
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