聖なる社へ

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私達高校生の旅はいつだって騒々しく、馬がいなくなってからも浜辺は陽気にはしゃぐ生徒達の活気に満ち溢れていた。 サバゲ―感覚で水鉄砲を撃ちながら人波をかき分ける子達や、波打ち際でのダンス動画を撮影する子達の熱量は、ありふれた地方の海岸の風景とは明らかに釣り合っていない。これが外国のビーチだったら、もっとお祭り騒ぎになっていたかもしれない。 うちのお兄ちゃん達は、馬が帰ってしまうと足早に先へと進んで行った。彼らは体育会系のメンバーこそ少ないが、みんな歩く速度が早く、すぐに見えなくなってしまった。彼らにとっては2度目の大会なので、そう足を止める物も無いのだろう。 私達5人も、千佳ちゃんの気分を上手く乗せながらペースアップして進んでいる。もうすぐスタートから5㎞地点の第1チェックポイントだから、そこでひと休みするまで頑張ってもらおう。 「あたし、幼稚園の頃牧場でポニーの乗馬体験やった事あるんだけど、怖くてギャン泣きしちゃってさー」 「うそー、あんなにかわいいのに」 「分からなくもないわね」 新米パーティながら、千佳ちゃんと森田さん達の会話は手前に見える河口の水の如く途切れずに流れている。私も混ざりたかったけれど、ふと気になった事があったので、3人から少し離れた所でレイネを手招きして呼び寄せた。 「ちょっとちょっと……」 「うん、どうした?」 彼女はキョトンとした様子で私に寄って来た。もし、彼女も千佳ちゃん達の話の輪に入りたかったのなら、呼んでしまった事を謝りたい。そうしてまでも、私には確かめたい事があった。
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