聖なる社へ

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「これはホントに怒ってたんじゃなくて、❝嫁姑ごっこ❞をしてたの。こう、『レイネさん! あなたって人はいつもいつも……』って」 「そんなお嫁さんいびりを、わざわざ浜辺で?」 ボケて笑いを取ろうとしたのに森田さんにはほとんどウケず、むしろ冷静に突っ込まれてしまった。 「これは海女さんって設定なの、うん!」 「マニアックな笑いだね……」 そんなに真面目に受け止めないで欲しかった。感心していたのか、ついていけなくて引いていたのか、一体どっちなのだろう。 「早川さんって面白いのね」 「詩乃ちゃん、昔からちょっと変わったトコあるからね」 その感想に反して、浮月さんの表情は全く緩んでいないので嫌味にしか聞こえず、ましてや千佳ちゃんにそんな事を言われたく無かった。一応この話題はここで打ち切る事が出来たが、やっぱり私には上手くごまかす才能が無いみたいだ。 心に日焼けの数倍痛い大ヤケドを負いながら歩いていると、いつの間にか河口のすぐ近くまで来ていた。 学校で貰った地図によると、この河口の手前を右に曲がり、防砂林を抜けた所に第1チェックポイントの公園がある。そこは、海岸に数ヶ所点在する公園の1つで、今日だけ特別に我が校が許可を得て使用させてもらっているそうだ。 公園には先生達がテントを建てて生徒達の到着を待ち構えており、私達は到着時間と健康状態のチェックを受ける事になっている。
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