聖なる社へ

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右に曲がると、公園に入る前からざわざわした熱気が伝わってきて、防砂林の奥に大勢の人々がいる事を予感させた。そして、木々の壁を抜けるとそれは確信に変わった。 そこには200人ぐらいの生徒がいて、学年・クラス毎に分かれた受付場所に並びながら、元気いっぱいでおしゃべりに興じていた。 ここは遊具が無く、隅っこにベンチがあるだけのシンプルな公園だけれど、その分収容人数が稼げるので、チェックポイントとして都合の良い場所なのだろう。1つのテントで4クラス分の受付を行うので、8クラス×3学年=24クラスに対して6つ設営されているが、狭さは感じない。むしろ、町内会の小さなバザー会場より広い。 私達1年A組の受付場所は一番手前のテントだった。A~D組合同の場所で行列に並んで順番が来るのを待つ事2分、私達の番がやってきた。 「はい、次の子ー」 「はーい、1-A組・望月千佳15歳、みずがめ座のA型です!」 千佳ちゃんが保健の小野寺先生に余計な自己紹介をすると、 「はい、元気でよろしい。あとは、早川・浮月・森田・天宮……っと」 先生はにこやかに笑いながら、私達の顔を見て名簿にボールペンでチェックを記入した。 「あっ、先生。昨日赤沢先生とデートして酔い潰したって本当ですか?」 「えっ! 本当!?」 「マジかよ、ショックだー!」 千佳ちゃんがプライベートな質問を大きな声でしたので、隣の列の生徒までざわめき立った。
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