聖なる社へ

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「えっと、神社に行きます」 私達は神社へ行くルートを選択した。そこは色々なご利益があるとされる場所で、みんなが行きたいと思っていた。そのまま浜辺を歩くよりは遠回りになるが、海岸線も少し見飽きていた頃だし、ちょうどいい気分転換になるだろう。 「そう……、気を付けて行ってきなさい。あそこの道は薮が多くて虫も沢山いるから、草負けと虫に刺されないようにね。あまり素肌を出してたらダメだよ? さっきも、おなか出して歩いてる子がいて注意した所なの」 「わぁ、せくすぃー!」 千佳ちゃんが驚いたように、夏はまだ先なのに気の早い格好で歩いている生徒がいるらしい。 「❝せくすぃー❞って言ってる場合じゃないよ。さっきなんか教頭先生がそういう子達捕まえて、プンプン怒ってたんだから」 「えー、おカタいなあ。カチカチなのは髪の毛だけにしなよー」 我が校の教頭先生は生徒の身だしなみにうるさく、今時珍しい堅物タイプだと言われている。自身の髪型はポマードでガッチリとオールバックのスタイルをキープしていて、この海風にさえなびきそうにない程だ。 「おや、誰か私をお呼びかな?」 そして、そんな教頭先生が私達の前に姿を現した。千佳ちゃんの軽口も聞こえていたはずだ。 「あ、あっちで誰かが言ってたと思います! あの、その……、ごめんなさーい!」 先生の無言の圧力に負けて、千佳ちゃんは白状してからダッシュで出口の方へと逃げて行った。
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