初日の彼女は

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「…………」 案の定、先生が問題を出したのに、教室は答えを知らない子や居眠りをしている子、知っているがシャイで言いたくなさそうな子と、誰も答える気配が無く、淀んだ空気に包まれた。 「はい!」 その沈黙を切り裂いて、勢いよく手を挙げたのはレイネだった。 「じゃあ(きみ)」 「スンニ派です」 「宜しい。スンニ派は多数派で、現在だとサウジやUAE、エジプト等に多くの信者を持ち……」 彼女は見事正解を答える事が出来、先生はその2大宗派の知識を整理すべく板書を始めた。それをノートに書き写すのは、手を動かす事が出来て眠気覚ましになるのでありがたかった。 実は、彼女がちゃんと授業について行けるのか心配していたのだけれど、余計なお世話だった。連休中も、時間を見つけては勉強机に向かい教科書に目を通す彼女の姿があって、その成果が出たようだ。 その後も、彼女は実力を存分に発揮してくれた。 3限目の英語の時間では、テキストを読んでから先生がその内容を私達に質問する形式で授業が進められたが、 「Who was the Confederate general in the American Civil War? えーと、Ms.Amenomiya?」
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