聖なる社へ

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「あら残念ね。望月さん、淋しいけれど海の家でまた会いましょう」 「えー!?」 ところが、ここで意見が分かれた。浮月さんは神社に行きたいようで、涼しげな顔でさらりと千佳ちゃんに別行動を提案した。 「早川さん、大変だけれどあと少しだから一緒に頑張りましょうね」 「う、うん、そうだね!」 私は元から神社に行くつもりだったのだけれど、急に声を掛けられて焦って返事をしてしまった。きっと、私なんかよりもずっと神社に興味があるのだろう。 「これを書いて貰いたくて」 そう言って彼女がバッグから取り出したのは、薄紫色の布地のカバーが付いたノートのような物で、 「あっ、御朱印帳持って来てたんだ……」 御朱印集めの為にどうしても神社へ行きたかったらしい。どうりで並々ならぬ意志を感じた訳だ。 「私も引き返すつもりなど無いが」 「私も……」 レイネも森田さんも同意して4対1と、ついにギブアップ派は千佳ちゃんだけになってしまい、 「わかったよ、私も登るよ! 詩乃ちゃんの裏切り者ー!」 「まあまあ……」 今まで通り、5人で神社を目指す事となった。
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