67人が本棚に入れています
本棚に追加
「あーあ、めっちゃ濡れたー!」
一人だけびしょ濡れになっていた千佳ちゃんは、バッグからタオルを取り出し、頭と顔を拭いた。Tシャツは下着が透けなくて良かったが、雨を吸い込んでかなりウェットな状態だ。彼女はおなかが見えてしまうのも構わず、すそをつかんでぞうきんのように水気を絞り出した。他の参拝客もいるのに、大胆な事だ。
「これ、ヘソが見えているぞ」
千佳ちゃんのおヘソが出ているのを見逃さなかったレイネが、千佳ちゃんの後ろから腕をまわして、手のひらでおヘソの辺りを押さえた。
「ギャ――ッ!!」
それを見た私は、嫌な予感がして思わず悲鳴を上げてしまった。それに驚いたレイネはすぐに手を引っ込めたが、辺りに変な空気が立ち込めた。
「やだなあ詩乃ちゃん、何大声出してんの?」
「いや、その……」
キョトンとした顔の千佳ちゃんには「レイネが千佳ちゃんのおヘソを取ろうとしたと思ったから」なんて説明出来る訳も無く、
「❝ギャ――ッ!!❞とは何だ、失礼ではないか!」
「だって……!」
レイネには疑っていた事がバレて、大いに憤慨されてしまった。彼女にそんなつもりは毛頭無く、「人前でおなかを出すのははしたない事だから、隠そうとした」だけだったみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!