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「Robert E. Lee」
「Good job!」
英語での質問に対して、簡潔に答えた。周りからは、「やっぱ、ですよねえ」とか「さすが帰国子女は違うよな」という声がちらほら上がった。
4限目の古文は彼女の本領発揮(?)といったところで、
「じゃあ、このやんごとなきヲタク少女の魂の叫びを綴った日記帳を朗読したい人は挙手!」
「はい!」
「おお、君が読んでくれるか。それでは、よろしくどうぞ」
「『東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふものの……』」
「うん、スラスラ読んでていいね。その勢いで現代語訳もどうぞ」
「はい。『東海道の果てよりも、更に奥地で育った人間の私は、どれ程見苦しかったであろうに、何故思い始めたのか、世の中に物語という物が……』」
今日初めて扱う作品にも臆する事無く積極的に手を挙げ、水を得た魚のごとくスムーズな読みから訳までを全て一人でこなした。これには先生も、
「結構無茶振りしたんだけど、訳までやってくれるとは思わなかったなあ。君にはヲタク少女の魂の叫びがクリアに聴こえているみたいだねえ」
と舌を巻く程だった。ここまで来るとクラス全体が彼女の実力に気付かされて、称賛と驚愕の声で教室内が大きくざわついた。
ただし、その中には「すげえけど、なんか違和感あるよな……」という声も含まれていた。私は、そうは思わなかったけれど、見た目が和風じゃないだけに無理も無いか。
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