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「ここは私が持とう」
ケチな私の姿を見かねて、レイネが私の分も払うと言ってくれた。
とは言え、人にお賽銭を払ってもらうのも気が引けるから、後で買い物をしてお札が崩れたら5円玉を渡そう。
彼女は財布から5千円札を取り出し、それを惜しげもなく賽銭箱に差し入れた。
「ええーーーー!? 何で!?」
私が止める間も無く入れたお札は箱の奥に滑り込み、隙間から指を入れても取れそうに無く、もうキャンセルは効かないだろう。
「何てもったいない事を……」
「いや、決して勿体無くなど無い」
5千円あればいっぱいお買い物が出来たのに、彼女は全く惜しがる素振りを見せない。この小さな神社のどこが気に入ったのだろうか。
「ここって、そんなにすごい神社なの?」
「ああ。ここで祈願すると、美しいヘソになる謂れがあるそうだ」
「な、何それ……」
そんなおかしな謂れのある神社なんて今まで聞いた事が無く、あまりにも意外過ぎてずっこけそうになった。
「本当にそんな神社なの?」
「うむ、ここに記してある。❝且つて、当地の神職が修行中……。その水、一口飲めば忽ち快く……。当社が『美臍神社』と呼ばれ、今日まで親しまれる所以である。❞ いやはや、霊験あらたかな社だ」
「うーん、本当かなぁ……?」
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