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彼女が、木の立札に書かれた由来を解読してくれた。
昔々、ある病弱な神主さんがいたんだけれど、修行中に不思議な体験(たぶん腸活みたいなもの)をしたら健康になり、おなかの中も外も美しい『美ヘソの神主』としてたいそう評判になったそうだ。それにあやかろうと訪れた人々も次々にご利益を授かる事が出来、それ以来『美臍神社』の名が付いたという。
そう真面目に説明されても、全く受け入れる事が出来なかった。立札の文字はにじんでいてほとんど読めなくて、本当にそんな事が書いてあるのか怪しいし、大体『美ヘソの神主』って何なんだろう。
「ついでに皆の分も祈っておいた」
「ああそう……」
ありがたいんだか、ありがたくないんだか……。それだけおヘソが大好きで友達想いなのかもしれないけれど、この神社だけお賽銭が5千円なのはえこひいきし過ぎだと思う。
「こんにちは」
謎の神社のせいで混乱していた所に、白い着物に紫色の袴を着けた男の人から声を掛けられた。おそらく、この神社全体の神主さんだろう。見た目20代前半で、色白で上品な雰囲気の人だった。
「こ、こんにちは!」
「このように奥まった所にまでお参りして下さる人は、なかなかいらっしゃらないですよ。お若いのに通な方々ですね」
「そ、そうなんですか?」
マニアックな2人組を見て嬉しかったのか、彼は私達に優しく微笑んでくれた。私には、そんな平安貴族のような人を前にして、「ここって『美臍神社』って言うんですか?」と聞く勇気は無かった。
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