ランチタイム

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ランチタイム

4限目が終わり、学校は昼休みに入った。 待ちに待ったランチタイムだ。我が校では学食が無いので、家からお弁当を持ってくるか購買部や校外のコンビニで買った食べ物を、教室や中庭等で食べる事になっている。 早速お昼にしようと、何人かで集まってお弁当を食べる事にした。私達の場所はそのままで、廊下側の席から千佳ちゃんと演劇部仲間の森田さんがやってきた。後ろの席の浮月さんも一緒だ。 「レイネちゃん、さっきはすごかったね! 世界史とか古文とか無理だわ」 「そうか。昔から本を読む習慣があったから、それが活きたのかもしれないな」 千佳ちゃんは、午前中の授業で圧巻のデビューを果たしたレイネをべた褒めし、目をキラキラと輝かせて尊敬の眼差しを向けていた。そんな中、私は自分の勉強不足を棚に上げ、世界史に対する不満を口にした。 「私、世界史苦手だな。意味のわからない単語ばっかりだし、絵が不気味じゃん。みんな『ぬぅううん……!』って感じのタッチでさぁ」 「ごめん、早川さん。それ、意味がわからないんだけど……。浮月さん、わかる?」 「わかるようなわからないような、って所ね」 私の言いたかった事は森田さん達にほとんど伝わらず、気まずい空気が流れた。昔の人が描いた絵はデッサンが上手じゃないから、人間離れしていて不気味だ。ちゃんとモデルの人物に似せて描けているのかも怪しい。もっと後の年代で、ダヴィンチやミケランジェロが出てくる辺りからはだいぶリアルな肖像画が多いが、背景が暗い物ばかりで気が滅入りそうになる。どちらにせよ、見る物に無言の圧力をかけている感じがイヤだと言いたかったのだけれど、変な擬音でしか表現出来ず、恥ずかしかった。
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