下り坂はブレーキをかけて

5/13
前へ
/356ページ
次へ
ひとまずは海岸に着くまで走ろうと、みんなでペースを合わせてランニングを行うも、 「もうやだー! 何でこんなに走らなきゃいけないの!? 絶対にチャラーノと地獄坂のせいだよ!」 「いちょう坂だってば」 さっそく千佳ちゃんが音を上げた。そんなの今更言っても始まらないのに。 「じゃ、バス使おうよー! 地獄坂450(フォーハンドレッド・フィフティー)を登ったごほうびとして」 「語呂が悪いわね」 浜歩き大会では、体調面や制限時間も考慮して残り数キロ地点でのバスの使用が認められているので、千佳ちゃんは歩けるだけ歩いてあとはバスに乗りたいようだ。 「ならぬ。走るぞ」 「鬼ー!」 しかし、そんなチキンプレイをレイネが認めるはずも無く、あえなく一蹴された。 「森田さんを御覧なさい。あんなに元気よ」 浮月さんが見つけた森田さんは、私達の先頭を快走しながら数十メートルおきに立ち止まって写真撮影を繰り返していた。森田さん的には「絶景ポイントを逃さないよう、こまめに撮影したいから」らしい。 「わかったよ、走るよー!」 これにはさすがの千佳ちゃんも観念して走るしかなかった。
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加