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「あっ、これが遠山の言ってた❝遠山ガールズ❞か! みんなレベル高くね!?」
「くそ! 演劇部裏山!」
「いいだろ。4人とも俺の可愛い子猫ちゃんだから」
「違うんですけど……」
名前の知らない男子の先輩達が遠山先輩の大噓を羨ましがり、図々しい彼はその反応を見てドヤっていた。しかも、浮月さんは演劇部じゃないから関係ないのに。
「詩乃ちゃん達、バカはほっといていいからね」
「そうそう。さっき神社で❝こいつのビョーキが治りますように❞ってお願いしてきたから、もう少しの辛抱だよ」
「妬くなよー! あんな陰気な神社にご利益なんて無いっしょ」
軽音部の平塚さんや他の女子の先輩が冷たくツッコむのもお構いなしに、彼は罰当たりな言葉を吐いた。確かにこの病はお百度参りくらいしないと治りそうに無い。
「あれ、汗かいてる。何だ、走って来たの?」
「はい。ウチのクラス到着が遅かったので、このままだと制限時間に間に合わなくなると思って走ってるんです」
「超真面目だなあ……。そんなもん守っても意味無いのに。オレ達、あそこのすし屋でメシ食うんだけど、君らもどう?」
彼が指し示した100m先、坂を下りきった辺りには回転ずしのお店が建っていた。
「いえ、私達急いでますんで……」
「大丈夫大丈夫! ちょっとおごってあげるし、食い終わったらすぐそばにあるバス停から乗って行けば、第二チェックポイントまであっという間に着くから」
先輩達は早々に完走を諦め、バスを使う気満々だ。
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