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「天宮さん、積極的に手を挙げてて偉いね。これなら中間テストもバッチリだよ、きっと」
「授業というのは楽しい。尤も、楽しむばかりでは無く、様々な知識を吸収しなくてはいけないのだが」
「いやいや、全然楽しくないっしょー! レイネちゃん真面目だなぁ」
そこは少し気になってしまった。あまり目立つと彼女の正体がバレやすくなってしまうのではないかという不安はある。でも、あんなに生き生きとした授業中の彼女を見ていると、注意も出来ない。だって、彼女は真面目に授業を受けているだけで、何も悪い事をしていないのだから。どうか周りが「そういう気合の入った生徒だっているだろう」くらいに思ってくれればと願いたい。
その後はいよいよ、お昼ごはんだ。学校給食だった中学の時とは違って、それぞれ別々のお弁当を持ってくるので、今ではそれを見るのが楽しみの一つになっている。
千佳ちゃんのは、小さめのカラフルなランチボックスで、主食のエビピラフにおかずはウインナーと唐揚げとミートボールなど、見事に茶色い食べ物ばかりだった。野菜はプチトマトくらいしか入っておらず、いかにも好き嫌いが激しい彼女らしい。
森田さんはアルミホイルに包んだおにぎりが2つと、おかずの入った容器の中には豚のしょうが焼きやエビフライ、ほうれん草のおひたしに卵焼き、デザートのキウイフルーツやイチゴも入っていて、男の子でも喜びそうな中身だ。最近になって、この後の演劇部のキツイ練習に耐えられるようにと、量を少し多めにしたそうだ。
浮月さんは茶色い木製のお弁当箱で、小判型の曲線と縦に走る木目の美しさが目を引いた。中身もごま塩が振られたお赤飯に、おかずはシュウマイと焼き魚の切り身、たけのことしいたけの煮物等、容器に見合う大人っぽい物だった。森田さんが「駅弁や料亭のお弁当みたいで美味しそうだね」と言っていたけれど、その通りだと思う。
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