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「……何だ、そう言う事だったのか……」
それを聞いたレイネは、とてもすっきりとした表情で再び茉莉子ちゃんの下へとやって来た。はたして、セコンドの千佳ちゃんはレイネに何を吹き込んだのだろう。
「すまなかった。君の言い分も尤もだ」
「は……?」
ところが、茉莉子ちゃんを倒す秘策を授けられたのかと思いきや、彼女の口から出て来たのは頭を下げての敗北宣言だった。意外な展開に茉莉子ちゃんも拍子抜けしていた。
「君にはさぞ淋しい思いをさせてしまっていたのだろうな。いや、私とした事がその考えには至らぬとは。うーむ、何たる不覚」
「ハ、ハア!? 何言ってるか全然わからないんだけど! 千佳、あんた余計な事しゃべったでしょ!」
何やらよくわからない後悔の念を口にするレイネに、茉莉子ちゃんが激しくうろたえているように見えた。
「えー、あたし何もバラしてないよ? レイネちゃんの耳元で独り言をつぶやいただけだし」
「それがダメだって言ってんの、このバカ―!」
秘密を暴露された茉莉子ちゃんの抗議を、悪びれもせずに軽く受け流す千佳ちゃん。あんまり刺激しないで欲しいなあ……。
「決して悪気は無かったのだ。許して欲しい」
「なっ、何勘違いしてんの!? 勝手に謝っててバカじゃないの?」
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