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「あんた、何で❝片手グータッチ❞なの?」
「いいのが思いつかなくって……」
思いついたポーズを取ってみたものの、早速茉莉子ちゃんにツッコまれた。横向きで肘を地面と平行にしながら頬杖をつくクールなポーズの彼女とは全く釣り合っていない。でも、同じポーズを取ってる人はいないからまあいいか。
「みんな、ポーズは決まったー!?」
「OKでーす!」
「では行くよー! 5・4・3……」
待ち遠しいカウントダウン、このシャッターがもう少し早く切られていたら、この後の❝悲劇❞は起こらなかったのかもしれない。
――ブ――――ン!!――
「うわっ!」
「キャーー!!」
シャッター待ちをしていた私達の目の前に突如、小さなドローンが虫の羽音に似たノイズを奏でながら、飛んで現れた。
みんながカメラのレンズを見つめ、ポーズを取って固まっていた所での奇襲攻撃だった為に接近に気が付かず、なす術無く構えを崩された。
「田中―! そこ邪魔しちゃマズイって!!」
このドローンを操っているのが❝彼❞だという事はすぐにわかった。いつの間にか森田さんのすぐ後ろにいた田中君は、仲間の注意も馬耳東風に、にやけ顔でリモコン代わりのスマホの上で指を動かしていた。
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