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「こらー、邪魔すんな!」
怒った千佳ちゃんは目の前のドローンを手で追い払おうとしたが、相手は素早く上昇して彼女の手が届かない位置から見下ろすように佇み、
「当たるかよ、クソチビ!」
操縦者である田中君のひどい言葉と共に、機体は砂漠のネズミを捕らえるハヤブサのように、千佳ちゃん目がけて急降下した。
「わぁ――!!」
彼女は身を低くしながらドローンの攻撃を紙一重で避けたが、
「千佳、足踏んでる! 痛いからどいて!!」
「やだ! 羽根が当たるから押さないで――!!」
一歩後ずさりした際、後ろにいる茉莉子ちゃんの足を踏んでしまった。揉めている2人に追い打ちをかけるかのごとく、ドローンは空中に留まりながら意地悪く千佳ちゃんににじり寄って来る為、動揺は更に加速していく。
「ふ、2人とも落ち着いて!!」
「これこれ……」
ブォン!――
「あぁ――!!」
「ちょっ、助けてっ……!!」
しつこくドローンにあおられた千佳ちゃんは茉莉子ちゃんの足につまづいて転び、もたれかかってきた彼女の身体を茉莉子ちゃんも支えきれず、あっけなくバランスを崩す。
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