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「NO――!! 俺のスティンガーがぁー!!」
「何だよそのだっせぇ名前……」
竜の爪にひっかかれたみたいに無惨な姿と化した愛機の残骸を、田中君は頭を抱えながら呆然と眺めていた。
これで当面の危機は去った、と言いたい気分だったけれど、そうも言っていられない。誰も手を触れていなかったドローンがレイネの目の前で大破したのは、大いに問題があったからだ。
私は、いつの間にか現場から離れた場所にいた彼女の所に行き、真相を確かめる事にした。
(レイネ、さっきのドローンってレイネが電撃で……)
(察しがいいな、ご名答だ)
私の事情聴取に、彼女は潔過ぎるくらいすんなりと犯行を認めた。
(ああ、やっぱり……。ドローンを無闇に撃ち落としちゃダメだって言ったじゃん!)
(我々に危害を加えようとするからだ)
彼女には、自分が空を飛んでいる時に邪魔なドローンを反射的に撃ち落とそうとする癖があり、出会って間もない頃に注意した事があった。今回は正当防衛が認められるかもしれないが、目の前であんな超常現象が起きたら怪しまれてしまう。
「おい、天宮! 俺のドローンに何かしただろ!?」
言わんこっちゃない、田中君が彼女の事を墜落の原因だと疑い始めた。
「何を言う、私は手を触れていないぞ」
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