67人が本棚に入れています
本棚に追加
正体がバレる訳には行かない為、彼女は堂々とした口ぶりで犯行を否定した。
「おかしいだろ! お前の所に来ていきなりぶっ壊れるなんてありえねーだろ!」
「田中、落ち着けって!」
しかし、田中君は納得が行かず、食い下がる姿勢を見せた。ここはフォローに入っておいた方がいいかもしれない。
「あの、手を触れて無いのに壊れる方がありえなくない……? 無茶な操作でオーバーヒートしたか……、ほら、飛んできた鳥にでもぶつかったんじゃない?」
「確かにありえねえけど……、そんなヤワじゃねえし、鳥なんか見えなかったぞ!」
秘密を守る為にはどんな形であれ納得してもらわないといけないと、私は無理矢理それらしい原因をひねり出す。
「だったら、本当は触ってたんじゃねえのか!?」
「こんなの素手で触ったら危ないから、手を出さないと思うよ。どうせ撃ち落とすなら、そこの棒をフルスイングとか石ころをバンバン投げたり出来るでしょ?」
「そりゃそうだけどよ……!」
「野蛮だな」
一生懸命ごまかしている私の気も知らず、レイネは他人事のように私の編み出した撃墜法を批難した。
「そんな事しなくても、こんな可愛いサイズのドローンじゃ、どの道バッテリーが長くもたないわ。切れた所を拾って海に投げ込めばいいのよ」
「そなたも恐ろしい事を言うのだな」
「お前らなあ……!」
浮月さんまで議論に加わったが、話はレイネ犯行説からドローン攻略法へと脱線していった。
最初のコメントを投稿しよう!