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「うぅ……」
流石は❝現代の般若❞と言われるだけあって、強い恨みと怒りに打ち震える彼女の迫力ある形相を、彼は直視し続ける事が出来なかった。
「ってか自業自得だし、弁償っていうなら先にあの子のカメラを弁償しなよ! あっちの方が高くつくでしょ」
「そうだそうだ!」
「……」
そこにひとみちゃんとさやかちゃんが、すかさず援護射撃を放った。森田さんは未だ砂浜にしゃがみ込んでカメラの状態をチェックしており、顔を上げる事は無かった。こちらは明らかに彼が倒したものだから、いくらになるかわからないが、費用は全額彼持ちだ。それを聞いた彼は青ざめて何も言えなくなってしまった。
「森田ちゃんの敵討ったろ。こんなドローン、ふんづけちゃえ!」
「その後はウチがこの棒使って❝カキーン!❞と海まで飛ばしちゃる!」
「その前に写真撮らせて! ジオラマの参考になるかも。題して❝墜ちた狩蜂❞」
そして、墜落現場では千佳ちゃんとシピンちゃんが残酷なオーバーキルを提案し、うららちゃんはリアルなジオラマ作りのヒントを得ようとしていた。
「おい、やめろ!!」
愛機の危機に気付いた田中君は、現場に急行して千佳ちゃん達を払いのけて機体を回収すると、森田さんの方へと向かい、
「ごめん、悪かった……」
「あ、うん……」
彼女に一言謝った後、またしても仲間を置いてきぼりにして走って立ち去った。
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