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「天宮レイネと申します。少し前までは外国で暮らしておりました。こちらで暮らすのは久しぶりで分からない事も多々ありますが、一日も早くクラスの一員になれるよう努力しますので、どうぞ宜しくお願い致します」
高校生にしてはだいぶカタい言葉遣いで堂々と自己紹介をした彼女にクラスメイトはどんな反応を示すだろうか。完成披露試写会の映画監督のように、私はみんなを観客に見立て様子をうかがう。
パチ、パチパチパチパチバチパチパチ――――!!
「よろしくー!」
「ようこそ日本へー!」
ヒロイン役は、盛大な拍手と歓声で迎えられた。スタンディングした男子生徒の指笛まで聴こえる我がクラスの異様な盛り上がりは、隣の教室に迷惑じゃないかと思いつつも、そんな光景を目の当たりにして、私はほっと胸を撫で下ろす。
「彼女は早川の親戚で、今は家庭の事情があって早川家で一緒に暮らしているそうだ。大体の事は早川が教えてくれているが、もし天宮が困っていたらみんなも協力してやって欲しい。わかったな?」
「はーい!」
「まかせろー!」
先生の紹介にもあったように、彼女は訳あって我が家に居候している。その説明でみんなの視線が急に私へと集まってしまって落ち着かなかったが、受け入れてはもらえているようだ。
「じゃあ、天宮も席について貰うけど、場所どうしようかな。瀧本、悪いけどその席譲ってやってくれないか?」
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