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砂浜を飛び跳ねて
田中君を撃退した私達は、カメラを持ったまましゃがみ込む森田さんの周りに集まった。
「森田さん、カメラは大丈夫……?」
「ホントひどい事するよねアイツ、絶対に捕まえて何万でも何十万でも払わせるから!」
みんなが、大事なカメラを喪った悲しみに暮れ、田中君への怒りを募らせた。
実際の所、直したり買い替えたりするにはどれくらいかかるのか。現場から逃走した田中君には、うららちゃんから彼の友達1号(仮)を通じて、被害の状況を伝えて責任を取ってもらうつもりだ。
みんなが見守る中、森田さんがゆっくりと顔を上げて重い口を開いた。
「あっ……。うん、大丈夫だよ」
彼女の口から、大丈夫という残酷な結果が告げられた……。
えっ!? 大丈夫なの!?
「はあ!?」
「うそ――!?」
みんな、カメラが無事だとは思っていなかったので、口々に驚きの声をあげた。
「本当にどこもおかしくないんか!?」
「うん、レンズもボディも三脚も異常なし。全体的にジャリジャリしてるけど、もう少し砂を払えば問題無さそう」
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