67人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやいや、あんだけガツ――ン! と砂にダイブして無事っておかしいじゃん!」
「上手く受け身が取れてたみたい」
「奇跡かよ」
みんなで「無事な訳が無いだろう」と、代わる代わる森田さんを質問攻めするが、彼女は平然とした口調で無事をアピールした。
「なんだぁ、こんなに心配したのに……」
「ごめんごめん。まだまだ初心者だから、確認するのに時間掛かっちゃって……」
千佳ちゃんに責められた森田さんは、頭をかきながらバツが悪そうに応じた。さっきは思い詰めた暗い顔をしていたのが、苦笑いでも明るい表情に変わったのは良い事だ。
「どうする? これじゃチャラーノに伝え甲斐が無くない……?」
「そんなら、間をとって『修理費用として五萬円頂戴致します』って送っとこう」
「八、八! 八萬にしよう!」
「わー、それはやめとこうよ!」
振り上げた拳の下ろし場所に困った千佳ちゃん達は、うその修理費用をオークション形式で決めて伝えようとした。
「大丈夫だって、田中が先に吹っ掛けたんだから。あのドローン、うちの近くの電気屋で1万3000円だったし、これでおあいこ」
「そうなんだ……」
うららちゃんからドローンの値段を聞かされて、少し罪悪感が薄まった気がする。でも、あまり脅かさない方がいいと思うけれどなあ。
最初のコメントを投稿しよう!