砂浜を飛び跳ねて

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茉莉子ちゃん達と別れた私達は、再び速足で砂浜を移動する。日差しの強さとゆっくり歩いている他の生徒からの視線はちょっと痛いが、足腰にドローンに転ばされた影響は微塵も無く、軽快に進めるのは気持ちが良かった。 「思わぬ所で一頓挫してしまった、挽回せねば」 「うん、そうだね」 不満気な顔で併走するレイネのスピードが落ちる様子も無く、体調に変わりは無さそうだ。 「全く、あのへそ曲がりめ」 「茉莉子ちゃんの事?」 「うむ。人が折角歩み寄ろうとしているのに拒絶するとは……」 眉間にシワが寄っているのは、茉莉子ちゃんのせいでもあるようだ。 「気にしなくて大丈夫だよ。ああ見えて人見知りな所があるから、初対面の人には怖い顔しちゃうけど、悪気は無いんだ」 「❝2度目❞だ。この前、部活動見学で美術部に行った時も、背後から強い憎しみの念が伝わってきた」 「そ、そうだったんだ……」 そういえば、茉莉子ちゃんは美術部に入ったんだっけ。彼女は昔から絵を描くのが上手で、自宅には専用のアトリエを持っている程の熱中ぶりだ。私の知らない所で、2人が既に出会っていたとは思わなかった。見学の途中でレイネの体調が悪くなったのも、茉莉子ちゃんの負のオーラが原因だったりして。 もしかしたら、レイネはショックを受けてしまったのだろうか。いくら自分に非が無いとは言え、他人に嫌われるのは辛い。マイペースな彼女だって心の中ではひどく傷ついているのかもしれない。
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