砂浜を飛び跳ねて

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彼女の凛々しい顔立ちからは、その奥に潜む感情を読み取るのは難しい。千佳ちゃんくらい表情のバリエーションがあれば、察し易いのだけれど。 「大丈夫、茉莉子ちゃんもその内わかってくれるって! それよりも、怒って茉莉子ちゃんのおヘソ取っちゃだめだよ?」 念には念を、冗談交じりに探りを入れてみた。さっき、偶然だったけれども彼女のおヘソを触っていたしね。 「見損なうでないわ、そんなはしたない真似はせぬ。それに、あやつのヘソは癖があって美味(うま)くないであろう」 「❝美味くない❞って……」 それに対して、即座に明確な答えが返ってきた。彼女的に、茉莉子ちゃんのおヘソはお気に召さなかったらしい。美味しい・美味しくないの基準は何なのだろう。 「それどころか、あのような毒を身体に取り込めば、身体に害を成す恐れすらある。たとえ渇すれども、あやつのヘソから活力を得る事等無い」 「そう……」 ひどい言われ様だけれど、猛烈に反発するくらいの元気があって良かったし、茉莉子ちゃんのおヘソの危機も去った。 変な会話を繰り広げている内に、私達は第2チェックポイントに到達した。 ここでも第1チェックポイント同様、防砂林の奥の公園にテントが設営されていた。今度の公園は少し小さめだが、行動開始から時間が経過して生徒の群れもバラけている為、大きな混雑は起きていなかった。
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